世界が、ひっくり返った瞬間があった。
<B-7>
資源採取による環境破壊は限界を越え、
大地は各所で崩落し、分断され、海へと沈み始めていた。
もはや「戦場」は保たれていない。 それでも、戦いは続いていた。
恐竜たちの力。
大地族と、それに従う機械たち。
巨人族と海王族の意志。
それらが、幾重にも重なり、支配派へと押し寄せていた。
数でも、力でも、押し切られる。
このままでは終わる―― 誰もが、そう理解し始めていた。
その時だった。
極秘裏に。 誰にも知られぬ場所で。
長い時間をかけて建造されていたものが――完成した。
それは、空に現れた。
雲を裂くように。 音もなく。
ただ「在る」と認識された瞬間、
すべての視線がそこに吸い寄せられた。
その名は、のちにこう呼ばれる。 ……ウラヌス。
この星で見出された莫大なエネルギーを動力とする、
巨大兵器。 月から来た者たちが持ち込んだ、技術の極致。

最初の一撃で、理解された。
これは――戦の道具ではない。 世界を、消すものだ。
光が、降りた。
次の瞬間、広大な大地が“削り取られていた”。
爆発ではない。 崩壊でもない。
そこにあったはずの地形ごと、存在そのものが消失していた。
巨大な恐竜が、消える。 大地が、消える。
そこにいた命が、痕跡すら残さず消える。
一瞬だった。
逃げるしかなかった。
だが、逃げ場はすでに壊れていた。
連続する地殻崩壊により、大地は裂け、道は途切れ、
足場は沈む。 走り続けた先は、もはや「地」ではなかった。
恐竜たちは、崩れた大地ごと、海へと落ちていった。
「大地の生き物は、海では生きられない」
その単純で残酷な事実が、次々と証明されていった。
巨人族と海王族もまた、その光景を目の当たりにしていた。
恐竜ですら、一瞬で消される。 ならば、自分たちは――どうなる。
それは敗北ではない。 理解だった。
抗うこと自体が無意味であるという、圧倒的な現実の理解。
戦意は、音もなく消えた。
巨人族は世界樹へと隠れ、 海王族は深海へと潜る。
それぞれの領域へと、静かに引き返していった。
形勢は、完全に逆転していた。
「選ばれた者だけが、生き残ればいい」
支配派の指導者は、そう言った。
資源は有限であり、世界はすでに限界に達している。
「ならば、不要な存在は排除するしかない」
その言葉に、迷いはなかった。
「我に歯向かう者は、残らず消し去れ」
それは怒りではない。 生存のための、冷徹な選択だった。
追い詰められた帰還派の幹部たちは、悟っていた。
もはや、逃げ場はない。
自分たちが築いてきた文明。 王国。 夢見た世界。
すべてが、ここで終わる。
その覚悟が、静かに共有されていた。
ジョイボーイは、諦めなかった。
「まだ道はある。……一緒に来てくれ」
だが、帰還派の幹部たちは首を振る。
「私たちはここに残る」
この場所で終わることを選ぶ。 それは敗北ではなく、
この世界を変えてしまった責任のけじめだと。
……ここが私達の終着点だ。
「お前は、行け」
まだ失うものが残されている者は、進め。
……つなげ!
ジョイボーイは、迷った。
同志をおいては行けない。
だが、それでは“約束”は途切れる。 夢もまた…。
だから、選んだ。
「つなぐんだ!」
ジョイボーイは、歯を食いしばり、全力でその場を離れた。
約束を、未来へつなぐために。
…帰還派の幹部たちが、最後の時を迎えたのは、
それから間もなくしてすぐだった。
王国とともに。 夢とともに。
天空からの光が、すべてを飲み込んだ。
何も、残らなかった。

ジョイボーイの消息は―― 途絶えた。
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