<B-5>
世界が、止まった瞬間があった。
巨人族と海王族が、動き出していた。
このままでは、この世界が終わってしまう。
「月から来たもの全てを、 この星から排除するしかない」。
その決断が、実行へと向かおうとしていた。
その時、一人の人物が前に出た。
その名を……
ジョイボーイ。
大地族のリーダー的存在だ。
誰かが決めた王ではない。 気づけばその場の中心にいる。
笑いながら場をまとめ、 いつの間にか皆が後ろをついていく。
恐竜たちすらも、彼にはなついていた。
そんな男が、珍しく、真剣な顔をしていた。
「待ってくれ」。
その一言が、世界を止めた。
ジョイボーイは、ひとつの提案を持ちかける。
「まず、話しを聞いてくれ……」。
こうして、かつてない会議が初めて開かれる。
巨人族。 海王族。 大地族。
そして、月の民の帰還派の幹部たちも加わった。
三大生態の主だった者たちと、
月の民の帰還を望む者たちが、
同じ場に座った。
その場でジョイボーイは、約束を掲げる。
「この星に残っている月の民をまとめ上げ、
すべてを説得して、 月へ帰還させる」と。
争いではなく、帰還によって終わらせる。
その役目を、自分が引き受ける……と。
すぐに賛同が得られたわけではない。
大地はすでに削られ始めている。 時間を与えれば、被害は広がる。
そう考える者たちも多かった。
だが最終的に、巨人族と海王族は条件を出して賛同する……
「期限を決めること」。
「その期限までに月の民を帰還させるなら、 剣は収める」……と。
こうして、ひとつの協定が結ばれる。
後に「最初の約束」と呼ばれることになる、 その誓いが、静かに交わされた。
会議が終わると、ジョイボーイと大地族、 そして帰還派は、次の難題へと向かう。
支配派を、説得すること。
その約束を、受け入れさせること。
その動きを見ていた巨人族が、 静かに口を開く。
「それなら、手を貸そう」。
散らばった月の民を集め運ぶための船。
その巨大な船の建造を。
そして海王族もまた……。
「その船を曳いて、 広い世界に散らばった月の民を回収する役目は
私たちが引き受けよう」と。
……その船の名は、後に「ノア」と呼ばれる。
三大生態と帰還派が、 初めてひとつの方向を向いた瞬間だった。
ただ……それとは別に、月の民の帰還派の限られた者たちだけで、
極秘裏に、別の場所で、帰還の為の準備を始めた。
約束は結ばれた。
世界はまた動き出した。
……だがこの時、誰もまだ知る由もなかった。
……この約束が果たされることは、なかったと。
続きはこちら↓
注目記事はコチラ↓↓
お問い合わせは、こちらのページよりどうぞ。
ご意見・ご質問等がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
―参考資料―
本考察は原作単行本を基に構築しています。
再読・検証用はこちら。



