世界構造仮説⑤ ― 開戦

世界構造と消された歴史

言葉は、届かなかった。

<B-6>

ジョイボーイたちは、帰還派と共に、支配派のもとへ向かった。

「共に月へ還る道がある」。

その言葉を、持っていった。


だが支配派は、聞かなかった。


「還る?!」

交渉の余地など、最初からなかった。

膨大で豊富なこの資源を目の前に⁈
……ここが、自分たちの世界だ。

帰還派どもは、うるさいハエだ。

大地族もまた……邪魔な存在だ。


会話が終わるとともに、支配派は動きだしていた。


帰還派を、力で押さえる。

協力する大地族も、まとめて。

問答無用だった。


こうして、火蓋は切られた。

月の民の分裂

望んだわけではない戦いだった。

だがジョイボーイと大地族……そして帰還派は、
退くわけにはいかなかった。

――約束がある。

その約束を果たすために。
大地のために。
世界のために……。


大地族の力、特に、恐竜たちの力が凄まじかった。

大地が揺れる。 空気が震える。

月から来た者たちの技術文明が、 どれほど高度であっても。

失われていくモノたちの、生命の危機から湧き出るような、
その力の前では…… ただただ、圧倒されるしかなかった。

支配派の者たちの間に、 初めて見る感覚が広がり
恐怖がめばえ始めていた。


そこに加えて、帰還派の高度な機械たち。
……そして、巨人族や海王族の中にも、
手を貸そうとする者たちが現れ始めた。

それぞれの意志で、 それぞれの理由で、 流れに加わっていく。


戦いは長く続いたが、
次第に支配派は、劣勢になっていった。

一歩、また一歩と、追い込まれていく。
気力も体力も……じわじわと押し返されていく。

――戦慄が走る。恐竜の咆哮が脳裏に焼き付く。


勝敗の輪郭が、見え始めていた。

「このままでは、奴らの要求を飲むしかないのか……」。

誰の目にも、そう映り始めていた。

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