それぞれの夜明け前。
<B-4>
思想の違いは、いつか行動の違いになる。
月の民の内部で続いていた議論は、ついに静かな段階を越え始めていた。
帰還派は、動き始めていた。 月に還るための準備を、静かに進め始めていた。
支配派も、動き始めていた。 自分たちの力を示すための準備を、密かに進め始めていた。
そして……争いそのものから離れようとする者たちも、世界に散らばり始めていた。
思想は、すでに行動へと変わりつつある。
一方でこの頃、大地族の間に、ある変化が起きていた。
かつては広大だった大地が、少しずつ失われていく。
海が迫ってくる。 生きてきた場所が、削られていく。 恐竜たちの住処が、ゆっくりと消えていく。
それは静かな侵食だった。
嵐でもなく、災害でもなく。 ただ、確実に……奪われていく感覚。
自由に生きてきた大地が、 自分たちの足元から消えていく。
その事実が、大地族の中に 怒りとも悲しみとも言えない、重い確信として積み重なっていった。
この変化の中心にあるのは、月から来た者たちの活動だ。
証拠があったわけではない。 だが、大地そのものが語っていた。
そして大地族の中から、帰還派の考えに共感する者が現れ始める。
この星は、奪い合う場所ではない。
それぞれが住み分けてきた、均衡の世界のはずだ。
その均衡を壊すものを、止めなければならない。
その想いが、大地族と帰還派を、少しずつ引き寄せていった。
巨人族と海王族もまた、動き始めていた。
大地は削られ続け、 海はわずかに広がっている。
月から来た者たちの対立は、 もはやこの星そのものの問題になっていた。
巨人族と海王族、それぞれの族内で、話し合いが始まる。
そして……出てきた言葉は、穏やかなものではなかった。
月から来た民そのものを、 この星から排除するしかないのではないか。
静かだった世界に、 決断の空気が漂い始めていた。
世界は、決戦の前夜へと向かっていく。

この頃、二つの派閥がそれぞれ極秘裏に動かし始めていたものが、 やがてこの世界の命運を分けることになる。
……その時、一人の人物が前に出ようとしていた。
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本考察は原作単行本を基に構築しています。
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